平成17年4月からのコンタクトレンズ購入について  (2004/12/23)


コンタクトレンズ購入の患者様へのお知らせ
平成17年4月より薬事法の改正に伴い、
当院内でのコンタクトレンズ販売ができなくなります。

平成17年4月1日以降、コンタクトレンズ購入希望の場合は、当院で発行した『コンタクトレンズ処方箋』を『学園通り調剤薬局』に持参の上、コンタクトレンズを御購入下さい。

薬事法により、今後コンタクトレンズは従来の『医療用具』から『高度管理医療機器』に分類されます。高度管理医療機器とは、不具合が生じた時、人体に対するリスクが高い医療機器で、コンタクトレンズの他には「人工心肺装置、人工呼吸器、輸液ポンプ、除細動器、人工関節、縫合糸、レーザー手術装置等」が該当します。

コンタクトレンズに関する検査・処方・装用指導・定期検査等は従来通り当院で行いますが、コンタクトレンズの販売については学園通り調剤薬局でお願いします。

尚、コンタクトレンズ処方箋には有効期間や個数の制限等がありますので、期限切れ等の場合は、診察を受けて処方箋の再発行を受けて下さい。
 
 また、処方できるコンタクトレンズはトライアルレンズがあるものに限ります。特殊なレンズの場合は、トライアルレンズを取り寄せてからの検査・処方になります。
 
              処方可能なメーカー:メニコン、シード、ジョンソン&ジョンソン
             
(一部取り扱っていないものもありますので、事前に御確認下さい。)

皆様に御迷惑と御手数をお掛けしますが、何卒、御理解と御協力の程、お願い申し上げます。


  眼科受診時のお願い   (2004/11/30)


 新聞の切抜きで、大分前のものですが、医者にかかる10か条」というものがここにあります。 
 
1.伝えたいことはメモして準備、2.対話の始まりは挨拶から、3.より良い関係作りはあなたにも責任が、4.自覚症状と病歴はあなたが伝える大切な情報、5.これからの見通しを聞きましょう、6.その後の変化も伝える努力を、7.大切なことはメモを取って確認、8.納得ができないときは何度でも質問を、9.治療効果を上げるために、お互いに理解が必要、10.よく相談して治療方法を決めましょう。

以上の内容は、全ての科に共通することですが、更に
眼科独自のものを付け加えてみたいと思います。

11.眼科は、視力、眼圧、視野検査、眼底検査など
院内での検査が多い為、初診時は特に時間がかかります
   ので,時間に余裕を持って、できるだけ早い時間にお越し下さい。
   
診察終了間際は避けましょう。
12.眼底検査の際に、散瞳薬を使用して、瞳を開く(大きくする)場合があります。効果が出るまで20〜30
   分かかります。そのため、まぶしくなり、近くの物が見にくくなり、5〜8時間ほど持続します。
   (個人差があります。)
   
眼底検査の予定があるとき(特に両眼散瞳や初めての時)は自動車を運転しての来院は危険ですので
   ご遠慮下さい。

    また、病気によっては眼帯が必要な場合も同様の注意が必要です。
13.眼の周りのお化粧は落として下さい。
   眼瞼の皮膚の状態や腫れの程度が分からなくなります。
   また、診察時眼瞼の翻転がしにくく、点眼薬や洗顔によりお化粧が落ちる場合があります。
   
手術の時は必ずお化粧を落として下さい。
14.現在使用している眼鏡やコンタクトレンズをお持ち下さい。
   不適切な眼鏡やコンタクトレンズにより色んな症状が出ます。
15.異物が眼に入ったとき、特に
薬品の時は現物や容器・説明書をお持ち下さい。
16.
診察直前に、市販の点眼薬の使用は控えましょう。
   点眼薬の種類によっては、血管が収縮して充血の状態が分からなくなります。

 以上、日常の診察時に気付いたことを書いてみましたので、ご来院の際は参考にして下さい。


  正常眼圧緑内障      (2004/9/28)


 今回は、5月のコラムで予告した正常眼圧緑内障についてです。
 平成12年から14年にかけて、日本緑内障学会が岐阜県多治見市で行ったフィールド調査(
多治見スタディ)の中間報告によれば、緑内障の有病率は、全年齢層(40歳以降)の平均は5.78%でした。性別では男性5.51%、女性6.09%でした。緑内障の頻度は年齢が上昇するに従って増加し、70歳以上の方では、40歳代の5〜6倍に増加します。
 緑内障のタイプ別では、
原発開放隅角緑内障0.32%、正常眼圧緑内障3.60%、原発閉塞隅角緑内障1.12%、続発緑内障0.74%で、高眼圧症は0.81%でした。その結果、慢性的に進行する広義の原発開放隅角緑内障の92%が正常眼圧緑内障でした。
 このことから、緑内障の発見には眼圧検査よりも視神経の検査のほうが役立つことも分かりました。
 

 正常眼圧緑内障とは
、緑内障診療ガイドラインのフローチャートによれば、隅角が正常開放隅角で、眼底に緑内障性視神経障害があり、視野にも緑内障性視野障害を認め、眼圧が正常眼圧であるものとされています。発症原因は、眼圧以外に視神経の循環障害や危弱性等が指摘されています。治療に関しては、眼圧を更に下降させる事により視野進行にブレーキをかけることが認められています。眼圧を下降させる点眼(場合により複数)や状況によっては眼圧を下げる手術が必要になることもあります。その他には、視神経血流改善薬や神経保護薬が使用されることもあります。

 しかし、正常眼圧緑内障は自覚症状に乏しく、進行が遅いため治療開始の判断が難しいのが現状です。 今後は、正常眼圧緑内障の定義の確立およびガイドラインの確立と多治見スタディの最終報告が待たれるところです。

    参考文献: (財)日本失明予防協会会報 Vol.16 No.1 日本緑内障学会緑内障疫学調査 山本哲也



  近視の成因について      (2004/8/29)


 平成15年度の文部科学省の統計では、遠見裸眼視力1.0未満の頻度は、小学生で25%、中学生で50%、高校生で60%と報告されおり、その大部分は近視によるものと考えられています。 
 日常の診療で、よく付き添いの母親に「どうして近視になるのか」と聞かれることがあります。
まだはっきりしたことはわかっていないのが現状ですが、眼科の雑誌の総説に近視の成因について書いてありました。それを以下に要約してみましたので、御参考にしてください。

 近視の成因には、先天性の要因と後天性の環境要因があります。しかし、一方の原因だけで近視が起こるのではなく、お互いに影響しあって発生すると考えられています。
 先天性要因である近視の発生を説明する単一の遺伝子はまだ検出されていず、複数の遺伝子によって制御されていると考えられています。
 後天性要因は水晶体屈折力の増加と眼軸長の延長があり、
長時間にわたるコンピューター作業や読書などの過度の近業、過矯正眼鏡の装用、照明、ストレス、調節不足等が加わることにより起こると考えられています。
 読書や書字は30cm離し、正しい姿勢で、十分明るいところで行うよう気をつけたほうが良いようですが、実際の近視進行抑制効果は残念ながら少ないようです。

 従来、近視の発生・進行は25歳位までとされていましたが、
最近30歳台・40歳代で発症する成人近視あるいは後発近視が増えてきています。これは、近業の増加すなわちコンピューター作業(VDT作業)の増加との関連を指摘されていますが、詳細は不明です。いずれにせよ、VDT作業は休憩をとりながら、連続して長時間行わないようにしたほうが良いようです。
 また、
40歳以上の近視の進行には白内障(核硬化)の進行による場合や糖尿病、薬物中毒による場合もありますので、注意が必要です。

 最近の子供たちの体格は向上しているが、体力は低下しているように、ダーウィンの進化論に従えば近視の増加は環境への適応(退化)なのでは、と個人的には思っています。

       参考文献:日本の眼科 5月号 (2004)  所 敬 、長谷部 聡
                              


  視力検査について      (2004/6/26) 


 毎年この時期になると、学校で測った視力検査の結果、1.0が見えなかった為受診する児童生徒が増えてきます。一般的に視力とは、注視した時の中心視力を言います。国際眼科学会の協定により、ランドルト環の切れ目(直径7.5mm、太さ、切れ目1.5mm)を5mの距離から見分けることができる視力を1.0とすると定められています。これはほぼ1分の視角に相当します。日本では、視力表は測定距離を5mとして、0.1〜2.0までの各種の視力に相当する視標(ランドルト環やひらがな、カタカナ)を縦に配列した物を使用し、小数で表しています。日本人の正常視力は1.0〜1.2とされています。
 
 視力低下の原因になる
屈折異常には、近視、遠視、乱視があります。そして、屈折異常を矯正するレンズは、近視の場合は凹レンズ(−で表示)、遠視の場合は凸レンズ(+で表示)、乱視は円柱レンズ(通常は−で表示し、軸があります)を使用します。屈折異常の程度は、裸眼視力で判断するのではなく、矯正視力1.0または最良視力を得るのに要したレンズの度数(ジオプター)により判断します。 

 視力の表示の仕方は、例えば 視力(右) 0.3 (1.0×−1.5 cyl−0.5 A180°)の場合
                           
@   A    B     C     D

 
@:裸眼視力、A矯正した最良視力B近視を矯正するのに要した凹レンズの度数、C乱視を矯正するのに要した円柱レンズの度数、D円柱レンズの軸を表します。
尚,Aは現在使用している眼鏡やコンタクトレンズ等で矯正した視力を記入する場合もあります。

 また、近視の程度は、Bが−3.0以下が軽度(弱度)、−3.0〜−6.0以下を中等度、−6.0〜−10.0以下を高度(強度)、−10.0〜−15.0以下を最高度(最強度)、−15.0を超えるものは極度に分類されます。遠視も同じように分類されます。
 一般的に、裸眼視力だけでなく、矯正レンズが−1.0以上になれば矯正が必要とされていますが、当然学年や年齢により必要な視力は異なりますので、実際の学業や生活への影響、眼鏡に対する抵抗感などを総合的に考慮して、眼鏡やコンタクトレンズが必要か判断しています。


  健康診断と眼底写真          (2004/5/25)


 そろそろ、会社や職場での定期健康診断が近づき、眼底写真の判定に忙しくなる時期です。では、なぜ健康診断や人間ドック、基本健康診査で眼底写真を撮るのでしょうか。それは、眼底に糖尿病、高血圧、動脈硬化、高脂血症、貧血や白血病などの血液疾患、腎臓病、膠原病、脳腫瘍等の様々な全身疾患で、色々な変化が起こるからです。時には眼底の異常から初めて全身の病気が見つかるときもあります。また、以前より本態性高血圧の患者さんの生存率が眼底所見の分類とよく相関すると言われており、眼底検査の重要性が指摘されています。(ただし、1940〜60年頃のデーターなので、高血圧症の治療が進歩した現在の新しいデーターが欲しいと、個人的には考えています。)

 ところで、健康診断の結果、眼底所見で「H」や「S」というのがありますが、さてこれは何でしょうか?

 
「H」は高血圧変化の簡易分類で、細動脈と網膜、視神経乳頭の変化により次のように分類されます。
 
H1:細動脈の狭細を(軽度)認める。 H2:細動脈の狭細を(中程度)認め、局所的口径不同を認める。
 
H3:細動脈の狭細を(高度)認め、出血や滲出斑を認める。 H4:H3に加えて乳頭浮腫を認める。

 
「S]は網膜細動脈硬化の程度分類で、主に判定の基準は動脈と静脈の交叉部の交叉現象により次のように分類されます。
 
S1:交叉部において動脈の下を走る静脈が、動脈に接する部で軽度に混濁あるいはわずかに陥凹を示す(軽度)。 S2:交叉部において一見明らかな変化が見られるが、隠伏途絶する現象がない(中等度)。 S3:交叉部において静脈血柱が隠伏途絶して動脈壁に達しない(高度)。 S4:銀線動脈を認め、かつS3所見が一層著明になる(高度)。

 また、最近岐阜県の多治見市で行われた疫学的調査の結果、予想以上に緑内障の患者さん、特に眼圧が正常で緑内障性の視神経障害がある「正常眼圧緑内障」が多く、その診断に眼底検査が重要であることが指摘されました。
(正常眼圧緑内障については、いずれこのコラムに取り上げます。)

 眼底の状態を正確に把握するためには、眼科専門医による眼底検査や最新の機械による広範囲かつ立体的な検査が望まれますが、成人の失明の原因の第1位である糖尿病網膜症、第2位である緑内障の早期発見には、範囲が狭く平面的ですが、健康診断や人間ドックでまず眼底写真を撮るのが第一歩のようです。
そこで、異常が見つかったときは、眼科専門医を受診しましょう。


   色覚の異常                  (2004/4/25)


 現在、学校での色覚検査は廃止されました。先天性の色覚異常は、日本人男性の5%、女性の0.2%に見られ、国内で300万人以上の人が該当します。その程度は、様々で検査しない限り気が付かない人もいれば、社会生活に支障を感じる人もいます。
 すべての色は、赤・緑・青の光の三原色の組み合わせで作られています。色を感じる視細胞も、赤に敏感なタイプ、緑に敏感なタイプ、青の敏感なタイプの3種類あります。色覚の異常は、この3種類の視細胞のうちのどれかが足りなかったり
(いわゆる色盲)、十分機能しない為(いわゆる色弱)に起こります。

 色覚の異常があると、区別しにくい色があります。頻度の多い第2色覚異常(緑を感じる視細胞がないか、または感度が低下している)の人が間違えやすい組み合わせは、
赤と緑、オレンジと黄緑、緑と茶、青と紫、ピンクと白・灰色、緑と灰色・黒です。第1色覚異常(赤を感じる視細胞がないか、または感度が低下している)の人はこれに、赤と黒、ピンクと青が加わります。すべての色覚に異常のある人がこれらの色を間違える(誤認)わけではなく、1つしか該当しない人もいれば、すべて当てはまる人もいます。また、いつも同じように誤認するわけではなく、次のような条件があると、誤認しやすくなります。

 
・対象物が小さい(色の面積が狭い) ・彩度が低く、鮮やかでない色 ・明るさが足りない(暗い) ・短時間で色を判別する必要がある時 ・見る物に対する色の先入観 ・疲れなどで注意力が低下しているとき

色誤認の具体的な例
 
 
1.日常生活:緑の木々の中の紅葉がわからない・熟れたトマトとまだ緑のトマトを区別できない・1灯式の信号で、赤の点滅か黄色の点滅かわかりづらい・充電完了ランプの色の変化がわからない・桜の花はピンクではなく白と思っていた・カレンダーの祝日が見分けられない・靴下を左右色違いで履いてしまう・色で区別されているコードの接続に苦労する・焼肉が焼けたかどうかわかりにくい
 2.学校生活:黒板の緑の文字が読めない・強調のために赤で書かれた文字もほかの黒文字と同じに見える・仕切り線がないと円グラフが読み取れない
 3.職場:コンピューター画面の色のみによる情報分類が難しい・注文の色と違う色の製品を納入してしまう・新鮮な食材と痛んだ物の区別ができない


 一般的に先天性色覚異常は遺伝性で、残念ながら治療法はありません。その為、前述のように対象者は減ることはなく、常に300万人以上の人が色覚異常を抱えています。視力障害者に対する点字ブロック、車椅子の方に対するスロープのように、
色覚異常者に対しても、バリアフリーを社会全体で対処する必要があるのではないでしょうか。行政や企業にも色覚異常者に対する配慮が必要と思います。
 
 色覚異常については、電話相談「色覚110番」03−3583−2110、
『色覚問題研究グループ ぱすてる』http://www.pastel.gr.jp を御覧下さい。


       参考文献:目と健康シリーズ No.13 色覚の異常 創新社 


   飛蚊症(ひぶんしょう)と網膜剥離         (2004/3/14)


 最近、飛蚊症で受診される患者さんが増えて来ました。ある女優さんが網膜剥離で失明したという報道と関係あるようです。網膜剥離の初発症状として飛蚊症が起こることが多いので、心配して来院されるようです。虫が飛んで見える、子バエが飛んでいる、髪の毛がかかっている、ごま粒・糸くず・リング状のものが見える等表現も千差万別ですが、全てが網膜剥離ではありません。

 飛蚊症は本来無色透明である硝子体の中に混濁が生じて、その混濁が眼球を動かした時にフラフラ動いて、その影が自覚されます。青空や白い壁等を見たときによりはっきり見えます。これらは加齢とともに多くの人に起こり得る
『生理的飛蚊症』や60歳前後に起こる硝子体の加齢現象である『後部硝子体剥離』が原因のことが多いようです。しかし、初めて自覚した時は、病気によるものなのか区別できないので、検査は必要です。 治療が必要な病気としては、網膜裂孔・剥離、硝子体出血、ぶどう膜炎などがあります。
 
 網膜剥離には、一般的な網膜の一部に裂孔(裂け目)が出来て網膜剥離が発生する
『裂孔原性網膜剥離』と糖尿病網膜症や網膜静脈閉塞症などで起こる『牽引性網膜剥離』、炎症や腫瘍、腎臓病や妊娠中毒症で起こる『滲出性網膜剥離』があります。
 網膜剥離の好発年齢は20代と50代です。若い人の場合は強度近視によるものが多く、年配の人は後部硝子体剥離によるものが大半です。裂孔原性網膜剥離の
危険因子としては、強度近視、外傷後、白内障手術後、アトピー性皮膚炎、網膜剥離の家族歴や片眼が網膜剥離の場合があります。
 治療は薬では治りません、手術で物理的に裂孔を塞ぎ、剥離した網膜を元に戻します。手術後の視力や視野などの視機能全般の予後は、剥離の大きさ、剥離が黄斑部に及んでいるか、剥離してから治療を受けるまでの時間が影響します。
 やはり
早期発見・早期治療が大切ですので、まず初めて飛蚊症を自覚したら眼科を受診し、すでに飛蚊症がある方は症状に変化が見られたリ、目の前に閃光が走る「光視症」を伴う場合は直ぐに眼科を受診しましょう。

         参考文献:目と健康シリーズ No.12 網膜剥離と飛蚊症 創新社


  コンタクトレンズが角膜に及ぼす影響  (2004/2/14)


 コンタクトレンズ購入時は眼科医の処方や検査が必要で、その後も定期検査が必要であると言われています。当サイトにおいても『コンタクトレンズを安全・快適に使用するために』と言うコンテンツがあります。では、コンタクトレンズを使用すると一体目にどのような影響が出るのか、主に角膜について見てみましょう。

 
1.酸素の取り込み低下
 角膜の代謝は、主に涙液を介した大気中の酸素に依存しています。そのため睡眠中や閉瞼時は、開瞼時の8〜21%まで酸素分圧が低下するとされています。コンタクトレンズ装用時は、当然の事ながら酸素の取り込みは、大気から直接ではなく間接的に涙液を介して行われる為、
酸素分圧は正常より低下します。コンタクトレンズの下の角膜表面の酸素がどの程度あるのか、実測は不可能ですが、コンタクトレンズの素材の酸素透過性や厚さにより差があると考えられています。臨床的には、角膜が酸素不足になると浮腫や混濁が起きます。

 
2.角膜内皮細胞の変化
 角膜内皮細胞は、角膜の一番内側にあり(1層)、前房水と角膜との間のバリアーおよびポンプ機能を持つ細胞です。体質的な要因もありますがコンタクトレンズの不適切な処方や使用により、稀にその細胞密度が低下することがあります。

 
3.角膜知覚の変化
 角膜は生体で最も鋭敏な知覚を有する組織ですが、コンタクトレンズ装用により角膜知覚が低下するとされています。

 
4.角膜の厚さと曲率の変化
 コンタクトレンズ装用することにより、多かれ少なかれ角膜の厚さは増すとされています。その厚さは、角膜の浮腫の程度を臨床的に推測する材料になり、その程度が強ければ装用条件は好ましくないと判断されます。
 コンタクトレンズ装用により角膜曲率の変化や浮腫が起こると、コンタクトレンズを外した後眼鏡をかけると一時的に見難い時がしばしばあります。この現象はスペタクル・ブラーと云われています。数分で戻る場合もありますが、個人差が大きいようです。

 以上のような変化は程度の差はありますが、自覚症状がなく、なんら問題なく使用している人にも起こっています。コンタクトレンズは、確かに有用な視力矯正方法ですが、目になんら影響がないわけではないということをご理解ください。そして、
正しい使用方法を心がけ、定期検査を受けコンタクトレンズを安全・快適にご使用下さい

    参考文献:コンタクトレンズ 診療最前線 基礎知識を完璧に 金原出


   VDTドライアイ         (2004/1/17)


 自宅やオフィスへのパソコンの普及によりVDT(画像表示端末:ディスプレイ)症候群が増えて来ています。更に、連日の異常乾燥注意報に見られるように冬場の乾燥が拍車をかけ、目の乾きを訴える患者さんが、最近増えて来ています。
 通常「まばたき」することによって、目の表面に一定量の涙が送り込まれ、目の乾燥を防いでいます。普段は1分間に20〜30回のまばたきが、
パソコン使用時や集中時は目を凝らしてみるため、5〜8回程に減って来ます。その為、目に十分な涙が供給されず、また蒸発量が増えることによりドライアイが発症します。ドライアイの主な症状は、目が疲れやすい、目が重い、目がごろごろする、目が充血する、目が乾く等です。「目が疲れた」と感じた時、その原因の約60%が「目の乾き」にあるとも言われています。
 治療法は、
目の乾きをとる点眼薬(ヒアルロン酸、人工涙液など)でほとんどの人は症状が改善されますが、目の周りの湿度を高くする眼鏡(モイスチャーエイド)や涙の排水口に当たる涙点を塞ぐ涙点プラグが必要な場合もあります。

 更に、
生活及び作業環境などの改善も大切です。
以下に、ドライアイの予防にもつながるVDT作業時の注意点を挙げます。
 
 1、意識的に瞬きをする。 2.コンタクトレンズより眼鏡を使用する。 3.温度は17〜28℃、湿度は40〜70%に保つ。 4.エアコンやファンヒーターの風が顔に直接当たらないようにする。 5.画面は視線の下側に置き、照度を調節する。 6.目と画面の距離は40センチ以上を確保する。 7.広くて文字が見やすい画面にする。 8.直射日光や光源は視野の外へ。 9.50分作業したら10分は休憩する。作業中も小休止と軽い体操をする。
更に、10.椅子や机を調整して楽な姿勢をとる。 11.不快な騒音を防止してストレスを軽減する。 12.携帯メールやTVゲームは控えめにする。 13.定期的な健康診断と健康相談。 14.異常を感じたら早めに医師にかかる。目が乾く場合は、眼科へどうぞお越し下さい。


(注意点は朝日新聞の記事を参考にしました。珍しく良くよく出来た記事でしたので、切抜きを患者さんにも差し上げています。)